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韓国、・仁川空港の近く、紅華島に住むキム・オクイムさんは住んでいる。彼女は５４年もの間ほとんど外出していない。そのわけは、顎が胸にくっつき、まぶたや口も開いたまま、閉じることはない。手も、変形している。
１９５３年、７歳だったオクイムは、ランプの灯油の入れ替えを手伝っていた。しかし、ガソリンが混ざっていたため、爆発。顔や手に大火傷を負ったのだ。奇跡的に一命は取り留めたが、火傷の後遺症で顎が胸にくっつくように変形。さらに目、口、鼻、手まで変形してしまった。その後、オクイムは家に引きこもり、身を隠す生活をするようになった。

そんな彼女に父親は、お見合いを勧めた。乗り気ではなかったが、翌日、キム・スンドクという男性と見合いし、結婚した。しかし、彼女には疑問が。何故こんな私と結婚したのか？ある日、オクイムは夫のスンドクに尋ねると、夫は、「周りのやつらはお前の事好き勝手に言ってるけど、お前はそんな大怪我を負いながらも、毎日一生懸命生きてるじゃないか。そんなお前を見てたら、顔の事なんて大した問題じゃないって思うようになってきた。」と答えたのだった。スンドクは、彼女の苦労を理解し、献身的に支えてくれた。やがて、可愛い息子も授かった。しかし、オクイムが家から出る事はなかった。「化け物の子」だと言われ、いじめられるに違いない。そう思い、全ての学校行事にも顔を出さず、写真は親戚が母替わりで写った。息子の成長を一番喜んでいたのに、自分の存在を隠し続けた。そんなオクイムにさらなる悲劇が起きた。夫が農作業中に倒れ急死。一番の理解者を失ったのだ。こうして自宅にこもる生活は、なんと５４年にも及んだ。

そんな時、オクイムさんの事を気にかけていた隣人が番組で火傷の治療をしたら？と持ちかけた。息子の説得で、診察を受けることになった。担当医の医師の見解は、手術をすれば今よりは確実によくなる。首周りの皮膚も移植すれば顔もあげられるようになるとの事だった。オクイムはその言葉を聞き、新しい命を貰ったような気持ちになった。２００７年６月１２日。ついにオクイムさんの顔面再建手術が行われる事になった。午前８時半、手術開始。まずは首周りの皮膚を切り取り。そこに背中の皮膚を移植。この日は首の周りだけだったが手術は１２時間にも及んだ。結果は、大成功だった。一番の理解者である最愛の息子が傍にいてくれたからこそ乗り切れた大手術。手術から１００日後、オクイムさんは、口が閉じるようになった。包帯を取ると胸からアゴが離れていた。また、首を左右に倒したり振ったり出来るようになった。その後も、およそ１０回もの手術に臨み首の他にも目、鼻、口の周りに皮膚移植を行い、少しずつ顔を取り戻した。更に左手も手術を受け、再建。

２００８年１月。この日は、生まれたばかりの孫に初めて会いに行った。行く前に、孫にプレゼントを買いに行った。実はこれがオクイムさんにとって人生初の買い物だった。そのプレゼントを持っていよいよ孫に会う。孫との初対面。ところが、声を掛けられず近づきもしない。孫の顔をただ眺るだけ。すると息子が孫をオクイムさんに抱かせてくれた。初めて触れた孫。おばあちゃんになった実感がわく。プレゼントに買ってきたのは、靴下。小さな足に履かせた。

それから２年後、仰天スタッフが会いに行くと火傷の傷もかなり回復しもう治療は受けていないという。オクイムさんは我々に１枚の写真を見せてくれた。これは、最近近所の人達と旅行に行き、人生で初めて撮った写真だという。

また、この時、オクイムさんは、「子供の学校に１度も行かなかったし、遠足にも行かなかった。あの子の為に何もできなかった事に関してずっと心が痛かったです。でもあの子は全部理解してくれました。あの子がいたから今まで生き抜けたと思います。」と語った。今では１人で買い物にも出かけるようになった。 そんなオクイムさんが最近、親交のある友人がいた。それが扇風機おばさんことハンヘギョンさんだった。韓国の番組で出会っていらい、本当の苦しみを語り合える貴重な友人となっている。