地上で戦う者達の中で、天を見上げる者は絶えた。各々の意思、、各々の再会、各々の別離が。この夜の内に終わるのだ。…そして。とうに役目を終えた心が、境界にあって緩慢に。終わろうとする再現を見届ける。自分が何にとっての『成功』なのか。その結末が今夜だというのならば。もう、口にすべき感慨もない。天を目指して輝く逆しまのほうき星。頼りなく寄る辺なく、それでも。なんとか終着まで届いた蜘蛛の糸を見送ろう。夜明けは近い。道はああして、今も確かに続いている。――――――――――――――………じき朝日が昇る。あの日の夜、居残る俺達を殺そうと黒い月が回りだす。これから。その大元を破壊しにいく。願いの終わり、パズルの完成。虚無を生み出す最後の隙間を、直に行って塗り潰す。「―――」叫びを殺して、空に作られた道を登っていく。虚無に至るのはここから。全員が何者であるのか自覚した今なら、本来の居場所に戻る道が続いていくはず。地上での終演が行われていく中。月は黒く変色し、街には骸が溢れ続けている。そしてこの体も、天に近づきすぎている所為か。俺なのに俺ではない怪物に溶け始めている。「エスコートにも、限界があるみたい」共に三人。俺、レイソール、ニーラレヴァ。天に昇る資格を得られたのはそれだけだった。そして今の呟きは王として、導き手として。この世界の存在を許されていたレイソール。彼女も、すでに何かによるその身への侵食を防げないでいた。「ちとニーラレヴァにはサービス過剰だったか?」どうやら、俺もまだヒトの言語は操れているようだ。極力自然に、かつ『いつも通りのチャイルド鍵』としての口調で、系譜の主人に向き直った。「逆。ありがたくって泣けてきた。見栄を張る相手がいないとヤバい。誰でもいいから隣にいてくれると助かる。まさに地獄に仏ってやつ」言いながら、虚空に向かって歩を進める。――舞台がハネる。遠くアラド大陸には、溢れかえるほどの赤い灯と、針の穴ほどの空白がいくつか。立ち止まっている時間は無い。閉館した劇場の中、最後のフィルムは回り続ける。そのあたりから。一歩進むたびにここでの現実が希薄になる。一段昇るたびにここでの時間が停滞していく。最初の一段目を昇り始めたのはついさっき。だが、その始まりの距離と時間は、もう思い出せないほど遠くに過ぎ去っている。「―――、――」俺は輪郭を失っている。軋む手足、湧き上がる怪物の衝動に。たまに崩れそうになる。だが傷を負うのは俺だけではない。近くを歩く導き手は、度に俺と同じ苦痛に顔を歪ませる。この領域こそ世界。ニーラレヴァが作り上げた世界の臨界点では、彼女でしか超えられない領域だ。だけど、その彼女は誰かが隣にいてほしいと言う。それならば、行けるところまで俺もレイソールも進むだけ。「あー…どこまで続くんだ。コレ」悪態をつきながら/《人間らしさを見せながら》、長い階段を昇っていく。「ぐだぐだ言わない。…あ、見て」ぴしゃりとレイソールに言い留められる。そして指した方向は地上。大挙として押し寄せていた骸たちは、先ほどの針の穴を保ったまま一定の場所で止まったままだった。「…あの穴は何があっても絶対に塞がれねえよ。まずいとでも思ってるのか?」「まさか。」再び、階段を昇り出す。すでに地上は遠く、空は近い。夢の具現、誰かの願い。求めながら与えられなかった全てが、一歩ごとに遠のいていく。それは、―――もう関わりのない秘境の海岸の物語のように思えた。何度あの街を歩いたか。何度日常を噛み締めたか。知らない場所はない。体験しなかった出来事もない。はじめは未知だった白紙は、繰り返す度に埋まっていった。埋めれば埋めるほど光を洩って行った。日常を愛するほど、新しい日々を求めるほど。世界は関心を葬する。それは当然の帰路であり、初めから分かっていた事だ。――――――――――――「…っ――」昇っていくほどに崩れていく私の体。鈍く、黒く、こちらをあざ笑う月に舌打ちをくれてやる。ニーラレヴァに気取られないよう、私と彼は歯を食いしばり続ける。『…いや。』彼女は全てわかっているのかもしれない。気にかけない、という気遣いで今もこうして歩を進め続け。【その時】がきても彼女はそのままでいてくれることだろう。この虚構の世界で。楽しみは十分すぎるほど出揃っていた。新しい出来事は必要ない。たった一種類の道のりでも。時を待てば元のアラド戦記としての形を守っていける。なのにどうして、私達はしなくてもいい事をしているのか。この世界で被った人格の影響だけではあるまい。多分、好きなんだ。理由はそれだけでいい。自分の好きなおはなしは、バッドエンドよりもトゥルーエンドの方が、後味がいいというものである。「っ――…!!」輪郭が歪む。足を踏み外しそうになる。「大丈夫だ。おまえは、我慢できる奴だろう」それを。いつか聞いた風の声が、完全に打ち消した。それはもはや遠すぎる作られた過去。はじまりの音が、私の体を吹きぬけた。「…当たり前。終わる事と続かない事は違う。ここにいたら、いつまでも続きがない」返し、空を見上げる。手を伸ばせば、もうすぐあの虚無に手が届く。繋がれた3つの輝きは、その頃にはひとつになるけれど。地上は雲に隠れ、星を寄る辺に歩いていく。「…なあ。あそこにいるモノは、なんなのかな」再び風が吹く。彼は天を仰ぎ、そう呟いた。あの怪物がなんであったのか――もはや頭が回らない。ただ、一番成すべきことは今も明確に覚えている。この道の終わり。きっと彼女は、頑なにこの世界を否定するそれを、解放するのだ。解放をする、と私であるレイソールは言う。一端に、《こちら側の世界》から見ればあの怪物は悪なのかもしれない。だが、悪は生み出されるものではない。作り出されるものだ。弱い人間はいる。だが種の中であぶれ出す弱者はどの生態系にも存在する。一つの命の悪など、世界においてさしたる影響はない。人間が最強で最低なのは、その構造自体が悪という事。外道を育み、火を与える人間の情。指導者とは特別でない何者かであり、それになり損ねた数多の無関心が、頂点を歪めていく。ただひたすらに生を謳歌する生命。神なんてものまで持ち出して繁栄を肯定し、自らの悪性を拭ぎ払う。ヘルモンスターなどと笑わせる。それは私達の総称だ。彼は人間より生まれしもの。人間である限り、それはあらゆる悪を再現可能だ。酷悪な個人、酷悪な社会、酷悪な概念。言い逃れはできない。同じものからして同じものを悪と理解させる生き物は、その在り方を間違えているということ。故、私たちからの反感を買った。―ああ、でも――それでも、命には価値がある。悪と成される生き物でも。それに意味がなくても。いままで積み上げてきた歴史には意味がある。いつまでも間違えたままでも、その手で何かができる以上、必ず、救えるものがあるだろう。きっと私達自身であり、作られた過去であり、この王としての考え方であり、そして世界そのものを。よって解放。きっとこの先にあるそれは。ニーラレヴァによって個に戻る。「うー。冷たくなってきた」腕を押さえ込んで/《人間らしさを見せながら》、空に近い空気を感じそう言った。「おまえそんな薄着してっからだよ。」「それもそうか」また風に吹かれた。それも、きっとこれが最後だろう。 ―――――――――――――――ソラが近い。私が作り上げた世界はじき終わる。ここから先には、私とその先にいるモノ以外は踏み込めない。「……………」口にするべきは何なのか。躊躇っているほどに、後ろの二人は骸へ変貌していく過程を否定し続け。その体を消失させつつあった。「あ…―――」何か言い残す事があるか、即座に思いを巡らせてみる。気の利いたセリフのひとつも思いつかない。「いいから。」ふたつのうちのひとつ。導き手の方が、口火を切った。「そのまま、振り返らなくていい。アンタは、先に進みなさい」と。凛として呟いた。歩みは後ろから押されるように止まらず、視線を空から切る事もなく。繋がっていた輝きの感触は、もうほとんどなくなっていた。感触の不確かさをなくそうと強く込めれば、その時点で。ふたつが幻になったと気付くだろう。全ての存在が虚構であることは、初めから承知していた。この街に関係のないものは偽りであっても確かに残るものだが。私達としての個は、何一つ残らず消え去る。どんなにこの温もりが本物でも。どんなにこの優しさが本物でも。正しい世界では。言ってしまえば私たちは事実会ってさえいないのだ。「ま、元に戻った後の行動は保障できないけどな。それでも、マスターはやってるだろうよ」私の内を暴いたかのように。彼は笑いながら言う。「俺達がいなくなったら、またそのうち会ってやってくれ」「…うん」ようやく一言。小さく返すことができた。その言葉で少しだけ、未練が軽くなった。「さて。」と、彼女がしきりをつけた。「また会いましょう、ニーラレヴァ。」「今度はもちっと紳士的になってるよう頑張っとくわ」背後の気配が消えていく。「ええ…。また、どこかで」わずかな暖かさも、すぐ風にさらわれた。実にあっけなく。夢から覚めた瞬間の空虚のように。ふたつの輝きはここから退いていった。―振り返るな。必死に欲求を抑える。軽くなったなんて大嘘だ。この余分が、軽くなる事は絶対に無い。「………」――終着駅が見えてきた。地上に降りていた救いの糸が、段々と欠けていく。遥かな地上。亡者どもは守護者に阻まれながら。空へと登り詰める私を見上げているのだろう。…その姿になる以前。遠くの星を見上げた時のように。流れ消える輝きに、羨望と怨嗟を込めながら。「…っ」いかに世界の創始者といえど。軋む手足は止められない。だが。朽ちていく体に恐れはない。恐ろしいのは、想い焦がれた欠片を見失うこと。光を失い、骸の一部になどになりたくはない。―――さあ。彼女の夢と引き替えに、これから。ただ一つの願いを叶えにいこう。
あっしこういう独りで頑張る系大好き^w^無音ステージ・無音シーンもこうかはばつぐんだ・・・今・・・すごく・・・楽しいです・・・
引き続き無音でお楽しみください(´_`)
うん、自分もこういう感じの好きw
携帯復活しました〜。まぁ、あれですな。お騒がせしました・・w
あ、スカ様ツバサありがとうございました><かっこよかったです!
あの宇宙犬の臭いが沢山付着した羽で夜な夜な自家発電にふけるがいい(゜∞゜)
スカ+ツバサ→スカサ→龍槍スカセイジなるほど…。
暗い。どうやら完全に修復をするのは、みんなの力を使っても不可能だったようだ。構わない。私たちがここにいればそれでいい。行こう。目指すのは、天界のさらに上。もっと。もっと。限りなく高みへ。―――――――――――――「いるのは私たち…、だけ?」「さて。どうだろうな」空は暗く、私達を照らし出す月と星は。いつどんな時でもその輝きを変えることはない。呟くのは、横にいるレイソールとチャイルド鍵。私と同じ場所、天城の最上部に再び命を受けたのはこの二人のようだ。「見て。アラド大陸が」地上を指差すレイソール。そこには。ヘンドンマイア、ウェストコーストといった馴染みの町並みがある。しかし。「もう始まっちまってるのか。ヘルモンスターの侵食が」チャイルド鍵の呟く通り。今がまさにこの世界の刻限。この物語を無へ返す『あの日』の終末だ。そして限界を迎えた世界は、じわじわと黒い影に覆われいるのだった。その影は。ひとつひとつがどす黒い獣と成し、ギイギイとうめき声をあげて秒刻みで世界を飲み込んでいる。「あれに全てを取り込まれたら・・・」「何もかもが終わる、か」二人が苦渋の表情で頷く。「さて、ニーラレヴァ」と、チャイルド鍵がこちらへ振り向く。「これじゃ俺達があの怪物を倒しちまう前に終わっちまう。どうするよ?」その笑いを含んだ口から、言葉が投げられた。「…何言ってるの。うちにはバカが付くようなお人好しがいっぱいいるんだから。そんなこと心配のうちに入らないよ。」だよなぁ。と満面の笑みで返してくる彼。レイソールも、優しい笑顔を称えているのだった。「さて、行こうか。ケリつけよう」「今までで一番マスターの意見として同意できるよそれは」暖かいモノに包まれたこの場所も、いつ黒い影が覆うかわからない。私達は静かに、目指すべき場所を見据えるのだった。――――――――――――――無限地獄に垂れる蜘蛛の糸。高い空にかかる凶兆に急き立てられ、ヨミの穴から骸たちが這い溢れる。今宵は刻限。終わるはずの世界を無理やり彼らが叩き起こした。『ギィィィ!!ギァァァア』それはまるで蜜に群がる蟻のよう。骸たちは世界に生まれた彼ら、【矛盾】を追い落とすため天より蘇る。『ツブセ!!キエテシマエ!!』これより先の夜はない。骸は極限なく増殖し、淀むことなく街を覆いつくしていく。『ツグナエ!!!ツグナエ!!!』即ち、カレらこそ阿鼻叫喚。この夜を埋め尽くすために頑現した、”自分{オノレ}を殺す”という意思をもった地獄である。「ひゃ〜…、またエラく高いとこに行きましたねお三方。」遥か上空。およそ2千メートル以上にかかる天城を見据え、彼女は淡々と呟く。天を二分する光の塔。そこから見える確かに輝く3つの命を見上げている。地上の状況が絶望的なものであったとしても、口元が綻ぶのは致し方ない。「――にしても。数、ちょっと多すぎやしませんか」アラド大陸の端に陣取りながら、彼女は視線をそこに戻す。街は闇に沈んでいる。あの日の終わりを向かえ、ここは急速に変貌しつつある。明かりは消え、人々は消失し、町の生気は凍りつく。この場、この時刻。存在しているのは彼らだけ。今まで混ざり合うことの無かった昼と夜が入れ替わり、出会わなかった者達が交差する。現実と空想、実と不実の接合面。この、わずかばかりの地獄の合間こそが。ニーラレヴァの作った世界と、『アラド戦記』という世界の境界線だった。「ある程度覚悟はしてましたけど…。ここまでの事は想定外ですね。」カレ等は半刻も経たず街を覆い尽くしていた。ヒトにとって、無限とは比喩である。いかに多く、いかに許容範囲を超えていようと、物事には限度というものがある。無限とは認識の限界が生み出した言葉に過ぎない。――だが、目の前のモノはそういった【数え切れない】ものとは違う。カレ等は真実【無限】なのだ。果てのない増殖連鎖。一である時点で結末となった終末の軍勢。何人たりとも止められない、自らを死滅させるブレーキのない暴走機関車。狂った矛盾の結末が、この地上を埋め尽くしていく。「六百…七百…ううん、視認できるだけでも千は超えている…」思わず口に出してしまうような無限のかけら。これでは、数分程度の足止めもできまい。カレ等は瞬く間に彼女を越え、後方にそびえる天城を覆い。彼女の希望である3つの輝きを失ってしまうだろう。「――っ…!!」終末を目前にして、彼女は強く歯を合わせる。地上が地獄であり、天が光る橋であるのなら。今ここはまだどちらにでも身を置ける領域。どちらに赴くかと言えばそれは――「迷うコトなんてない。ボクは、この世界全てが好きなんだから」両掌の槍を握り締める。これより、天を見上げることはない。彼女は自らに課した役割通り、この境界を守り通す。だが、「っは―――あ…―…」正しく呼吸を刻めない。地上を見つめれば見つめるほど、合わせた歯が軋みを上げる。強張った両足にいつもの軽やかさはなく、もう慣れたはずの羽の重みも、なぜか鉛のように感じる。『シネ・・・!!!シネ!!!!』骸たちの行進が始まる。境界を突破される。その前に、あの先頭部隊をなぎ払う。なのに震えて、この一歩が踏み出せない。「ああもう、情けないったら…!!」ごん、と握りこんだ拳が額を打つ。『最後の世界』を望んだ時から不利であるのは承知していた。この場に立った以上、後はもう。力の限り戦うのみ。「……っ」石の如き両足を動かして、眼下の群れに一歩踏み出す。後退はない。あと一歩踏み出すだけで彼女は死地に飛び込む事になり――「…ふむ。血気盛んなのは結構だが。肩に力が入りすぎじゃないか?いや、バトルメイジの戦い方に文句をつける気はないんだが。見ていられなかったものでね」「……え?」その、あまりにも聞き慣れた声に出鼻をくじかれた。「――まあちょっと待ってください。実は起きたばっかりで体が温まってないんですよ」緊迫していた心が解ける。彼女は足を止めて、振り向かずに言葉を返す。「なるほど。いや、オレは目覚めはいいほうでな。一番鼻につく匂いを辿ったらここへ来たわけだ」「めぐみさんのご飯、いつもおかわりしてましたもんね」空気が変わっていく。戻らないはずの日常が、今この時だけ世界から許された。「朝はちゃんと摂らねばな。もちろん、うまいもので。…そういえば、体を温めるのならこれはいい状況じゃないのか?」「あはは。中々言ってくれますね。…そうですか。ここは境界線じゃなくて、最前線ってわけですね。失敗しましたよ。そんなことを間違えてたら、そりゃ肩も重くなります」ぐるん、と伸びやかに肩を回す。状況は九回裏無死満塁、打順は二番から。一点許せばサヨナラいつまでもお幸せにゲーム。守る事だけに専念しようとして縮こまっていたピッチャーは、そこで。気合新たにバッターを切って捨てる悦びに満ちていた。他愛のない会話ににやりと口元が綻ぶ。目の前には今にもココへ到達しそうな骸達。火蓋を切るには、ここが最後の機会である。「―――OK。付き合ってくれますか、オレ曲がるさん」「ああ。オレを保てたこの世界。これでようやく――」ばさりと、橙色の装束がはためく。「――最後に。加減無しで戦えるというものだ」『作り出す者』として洗練された男は。彼女を守るようにその象徴たる聖骸布を翻す。その武装にどんな意味がこめられているのか、問いただすまでもない。橙に染められた象徴は相応しい戦場、信じるべき仲間とある時だけ。振り切った筈の郷愁が胸を焦がす。これより一時。夜明けまでのわずかな時間だけ、『失敗』と『成功』の括りを捨て。彼は在りし日の世界の姿に戻ったのだ。「…割と拘りますねオレ曲がるさん。律儀というかなんというか」「なに、律儀さでは負けている。」その言葉に何の意味があったのか。それは、目の前の呻き声にかき消される。「魔法はあまり得意じゃないけど…っ!!」彼女は握り締めた槍に力を込める。だがそれも五分のもの。なにしろ先は長いのだ。あの、天にかかった輝きが目的を果たすまで、彼女はここで戦い抜かなければならない。「―初撃は譲る。そちらの先制で群れの先頭をなぎ払った直後、分身共を生み出し続ける。あとは持久戦だ。オレの援護に合わせて斬り伏せ続けろ。何か問題はあるか、宇宙犬?」「異論はないです。ボクとオレ曲がるさんの二段構えでも抜けてしまうヤツは出てくるでしょうけど、それは無視しましょう。ボクらの役目は大群の殲滅。細かい取りこぼしなんて目の前の敵がいなくなってから考えましょう。」いなくなる、などということはない。このアラド大陸の端は、他にも数箇所ありこの軍勢の何分の一かは街の中頃にまで到達してしまうだろう。しかし、その程度の例外は天を往く輝きを信じてなんとかしてもらおう。「…まあ、あれですよ。お節介焼きはボクらだけのはずないですしね」「クッ、同感だ」黒く染め上げられた地上に、大輪の花が咲く。開幕を告げる光槍の一閃。それは地上に光る星として、そして天にかかる道しるべを照らしあげ―――――――――――――――………血で染め上げられた剣が骸達を粉砕する。眉間、喉仏、心臓、背骨。そのいずれかを的確に、かつ瞬速で突き抜ける。相手が亡者の群れだというのなら、立ちはだかるは鬼神の具現。景山より這い出た亡者共を、死を以って再び地獄に叩き落す…!!一呼吸の内に三斬必殺。自らを賭して生み出した力は炎となって亡者の顔を吹き飛ばす。だが浅い。顔を無くし肝を無くしながら、その凶爪は止まらない。もとより『世界』の矛盾が生み出したモノ。その動力は心脳にあらず邪念のみ。五体を消滅し尽くすまで、呪いの成就に狂走する。ザァ、と。静かにも関わらず力強い剣閃が目前を走る。迫っていた亡者はそれに消滅させられた。「―食費」「っせえ、礼なんか言ったらぶっ飛ばすぞ。てめえの血で覆っても、俺の速さでぶった切っても、死なない相手じゃ分が悪いだろうが」戦場に合わぬ軽やかな声。その煌々と光を宿した剣を夜空と地上の地獄に映し、男は亡者の群れへと踏み進む。切っ先はまるで光そのもの。亡者たちは地に伏せた後、ようやく斬られた事を知るだろう。「はっ。さすがにこいつらも手足を切られたら動けねえらしいぜ。前歯、面倒だが首より四肢を狙うぞ。俺の流儀には反するが、なに。木偶相手には丁度いいだろうよ…!!」「―――」血を売った者。剣を磨いた者。在り方は違えど、武芸者として研ぎ澄まされた両者に真からの対立など起こりえるはずもない。交差し、巻き込みながら敵を圧倒する刃と刃。背中を合わせ、目まぐるしく戦場を駆けながら。二体の鬼神が亡者達を圧倒する…!!「それにしてもどういう心変わりだよおまえ。今回の件に関しては関与しないとか言ってた割に、めっちゃ動いてんじゃねえか」「――知らん。飽きたのなら寝とけ。眠りについて、起きればまた日常に戻れるぞ」「ほぉ?全てを知った上でその口ぶりか。じゃあなんでこんな手間をとるんだ?その言い分でいくとてめえも眠ってりゃいいじゃねえか」「…そうだな。ふむ、何分血を捧げた身だ。まともな思考が働かないものなのだな」「っは!!てめえもそんな冗談が言えるようになったか!こりゃニーラレヴァ様様だなあおい!」「――」高々と笑う男の顔には、本当の笑顔が宿っていた。『世界』を憎むものなど、誰一人としていなかったのだと。そして、降り注ぐ光の柱。放った鉄槌は豪雨と化して黒い染みを一斉に洗い流す。「ひゅぅ。やっぱ化生には外法が効くもんだな。本領発揮だなブリッシュロリよお。この気色悪いのをおまえので蹴散らせ!」「減らず口はそこまでだ食費。おまえは前歯さんと共に敵を引き付け続けろ。それすら出来ないのなら、群がる雑魚と一緒に僕が焼き払うぞ」言いながら、現れた男の構えた重火器から再び光が発せられる。「はは、怒るな怒るな。こうやって一緒に戦うのがおまえの念願だろう。生憎俺もどちらかというと好戦的だからな!とあれば、多少の羽目は外すもんだ。なあ、男として無理はないだろ。前歯も珍しく力が入ってるからな!」「…すまん。好敵手の手前だ、手は抜けん。――迷惑をかけるぞブリッシュロリ」「――――」面を食らったのは両方か。彼を知る者なら、今の発言がどれほど特異であったか分かるだろう。「二人とも、新手だ。この大陸の端を守り続けるか、天へと俺たちも往くか。どちらにせよ話し込む暇はないようだ。指示は任せる。お前達の望む通りに戦おう。……こんな機会は、恐らく二度とはあるまい」「前歯さん…」故に、悔いを残すなと言いたいのか。爆裂前歯は世界と、親友と仲間、全てに意思を抱き。またその親友と仲間も。日々の終末を悔しげに、どこまでも残念そうに受け入れる。「…はい。わかっています前歯さん。ここからは迷い無く、自らの願いに添いましょう」重火器が再び光を噴く。ヒトに許された火力を超越し、それは更なる秘蹟を紡ぎ始める。「はっ。…もっと早くそう言ってくれりゃあよかったのによ」男も光剣を握りなおす。やっと得ることのできたそれを、もう二度と離さぬよう。「―――正直な話。もっとこの世界を続けていたかった俺の八つ当たりと知れやこらぁぁぁああ!!!」そのまま振るわれる光。天の輝きをその身で黒く染めようとする亡者共を一閃する。いかに無限といえど、失った数を瞬時には戻せない。神罰の如き一撃は阿鼻叫喚に綻びを作っていく。…されど、溢れ出る染みは止まらない。この3人を以ってしても街にはすでに幾数の亡者が潜る。すでに半ば骸に覆い尽くされている。しかし3人は留まり続け、もう一方の大陸の端もきっと不落のままこの夜を越えるのだろう。『……だが、あそこは…。なんとか持ち堪えているようだが…』血の男は心で呟きながらその場所を見据える。…視線は彼らの拠点でもあり、はじまりでもあったひとつの建物。黒に染められた地上で、ぽっかりと穴があいたように空白を保っているある孤児院に向けられた。―――――――――――………「――っは……ぐ…!!!」もう幾度念を放ったか。それを酷使し続けた体はすでに拒否を起こし、がくがくと奮えを起こすという反応で彼女に訴えかける。『ギィィィィイイ!!!!!!』「っ!?…はぁぁぁ!!!」血気を起こした骸に応戦する。全身に針が刺さるような痛み。そんな体から発せられたものに亡者を殲滅する力などない。―はずなのだが。『グ、アアアアアアア!!!!』光として放たれた念に、世界の塵として朽ちていく骸。「ここだけは――」ゆらり、と「ここだけは、絶対に渡さない…!!」佇む。彼女が背に、その信念を持って守り通すと決めた場所。だが、その中に彼女が守るべき存在はすでに世界から消失していた。―構わない。ここを守ることに意味があると。選んだ。この場に留まること。この、大切なみんなの場所を。叶わなくとも、ここだけは最後まで守り通すと。そしてその確固たる意思を、ちっぽけな奮起を。一体何をそんなに傷ついて守っているのか、と。どこの、誰が、笑い飛ばすことができようか…!!「誰が笑うもんか。アタシにも付き合わせろよ」傷だらけの彼女が声を聞いた時には、すでに目の前の骸は原型を留めていなかった。吹き荒れる大暴力。やってきた女は黒い障害を思う存分切り崩し、ひとつアクションを起こす度に骸共を巻き上げ、容赦なくその存在を否定していく。「ちっ…ちくBドルちゃん!!」「すまねえ遅れた。ま、積もる話はいろいろあるが―」新たな障害を察知した亡者は、増殖をし続ける。吹き荒れる嵐を止めるのは、さらに上をいく天災だった。「今は、この薄汚ぇのを全滅させんのが先だな。行くぞ、…めぐみ。」「うん…うん…!!」だが、天災など世界にかき消される。堅く、強く、鋭く、優しく。幾重にも刻まれ、この世界が引き合わせた《絆》へ。どこのカスに付け入る隙があると?「やっと、やっと…ここまで来れた…」彼女は普段と似つかない口調で呟く。その声は何に向けてのものなのか。積年の思いを晴らし、過去の過ちを超えてこの場所に届いた軌跡。口にせずとも彼女は理解してくれていると。そう心で思っていても言葉がでてしまう。「ちくBドルちゃん…。まだ、泣いちゃだめ」「…っ」まだ泣いてはいけない。そう呟いた彼女の顔も、深い悲しみに染まっていた。この束ねられた絆も、今夜限りなのだと。そう思うと―「ッ!!しまった、孤児院に!!!!」「えっ!?」迂闊だった。戦闘をしながら思いにふけるのには、いささか内容が過多だったのだ。その油断を逃さなかった骸は、建物の中に進入していく。しかし。建物に入った瞬間に、再びものすごい勢いで退出『させられている』亡者。何かの衝撃によって弾き出された骸は、その体に風穴が開いていたのだった。「…あのねえ。あんたら雑なんだよ攻撃が。もうちょい冷静になれ」そのまま、ひょっこりとその身を表す女。深く強く、その目は亡者達を見据える。「メラ忍…ちゃん…」きてくれたんだね、と彼女が言い終わる前に。その後ろで攻撃を控えていた骸が弾き飛ばされる。「だーから、冷静になれって言ってんの。…ココ、守るんでしょ?」「チッ、口うるせえのがきやがったな。まあ…後者に関しては非常に同意だけどな」もう一人の女と、にやりと笑う。「全く。こんなことするのは最初で最後だよ。今日の分の日記、長くなりそうなんだから早く終わらすよほら。」彼女の日記に刻まれるのは何か。それに思案を伴う必要はない。もはや揃った3つの想い。これを崩せるものは、この世界には存在しない。―――――――――――――――………穿つ。もう一度穿つ。全てを打ち崩さんと、それが振るわれる。世界のしがらみも、この黒い地獄も。もうヒトツの世界の端。骸の死骸に埋め尽くされたそこで、男は立ちすさぶ。たった一人で。『ギイイィ!!』これ儲けと言わんばかりに攻め込んでくる亡者達。ひとつの存在を消すのに何百もの軍勢が男へ押し寄せた。「―――――白虎」男は静かに呟く。瞬間、生み出されたそれによって塵と化す黒。――さあ、刮目せよ。世界と年月を超えて紡がれたこの想いを。遠い過去を乗り越えた一人の男の姿を。そしてその願いに裏付けされたこの強さを。男は《一人》なのではない。「―おめ子、右だ」男の指示通り光の速さで右方の亡者を一掃する。その間に男は左方の亡者を片付ける。幾度も男によって身体を打ち付けられた骸は、粉々になるまで断末魔を挙げるのだった。二人の間に会話はない。男が指示こそすれど、呼びかけられた方はヒトの言語を扱えるはずもなかった。だが、わざわざ音にして心を通わせる必要など二人にはない。「―うむ。あの3人は天へ往ったか。…信じているぞ」そう言った後、また静かな戦闘が再開される。さて、この空間に無駄な言葉はいらないのだ。ただ最後の時を噛み締めるように、男は淡々と亡者を殲滅していくのだった。 ――――――――――――………世界は紡がれていく。闇に灯る幾つかの明かり。黒い残骸を押し留める数値には表れない小さな抵抗。しかしその成果は、傷口を押さえる程度でしかなかった。開いた穴は塞がらない。終末は、彼らが死力を尽くしたところで抑えられるものではない。最後の世界が生まれてから既に半刻。大陸の端を切り抜けた骸達は、黒い点となって街を徘徊しはじめる。彼らの奮闘を以てしてもまだ足りない。安穏と倦怠と、日常に座して積み重ねてきた代償はそれほどに重く深い。故に、抵抗するにはあと一手。残骸を阻んでいる幾重もの冒険者達。その全てに匹敵するだけの力なくして、夜明けを迎えることはない。…虫のいい話である。この、多くの者が世界から切り離された夜の何処に、そんな救い手が在るというのか。骸たちは高らかに勝利を合唱する。コレデ矛盾ハキエサッタと。月に続く道、月を望む建築へ向けて笑いながら疾駆する。――だが。「――夜空に輝く月が、俺を妖艶に照らす…」ここに、在り得ない勢力が存在する。天城間近、いざ目指そうとする残骸達。カレ等は知るまい。この街を覆う自分達が大波であるのなら、彼は海そのもの。街などと言わず、全てを覆い尽くす世界の化身である事を。その男は、おかしな香に包まれていた。足元には銀色の灰。背中には俄かに浮かぶ十字架。たちこめるそれは霧のように煙り、男と群がる骸達を揺るがせていた。「今宵の俗世の渦は俺を際立たせる。こんな夜更けに大勢で、何か催し物でもあるのだろうか」男はいたって平静だ。この、ヨミから溢れ出た群れを前にして、臆することはない。清らかな、天使のような貌はむしろ―――「しかし、その催しは世界を闇に落とすようだ。…どうやら君達に必要なのは、救いではないみたいだな」男の変化を受け、ソレ等は急速にその身を合わせ始める。幾重にも重ね、知能を持たない骸達が【合体】をするという思考を男は与えたのだ。残骸は山となり、四方から男を押しつぶそうと積みあがる。飲み込めば終わる。この正体不明の生き物とて障害に過ぎない。侵略する側とされる側、その関係は変わらないのだ。しかし。侵略するというのであれば、カレ等の目的は塔の輝きを失くすことではなかったか。もはやここまで到達した残骸は百を越えているというのに。真っ先に塔を目指さないのは何故――?「俺に対峙した理由がわからないか。俺は救いを与える者。君達は逆だ。…この世は、反対のモノは引き合うようにできているんだ」皮肉にも、まともに会話ができたという意味では男にとってこれがはじめてなのかもしれない。それを仲間に向けるというのなら。男は行動で示すだろう。「…ああ、そうか。君達が、地獄を謳うというのなら―――」男の貌が真を捉える。高揚と激動。頭上を覆い尽くす屍の山。裁決は、ここに下る。骸達はスコールのように、絶え間ない散弾となって男を八つ裂きにし―「――――天国へ、堕ちろ」その罪を根絶やしにする為。暗黒の侵略者を上回る暴風となって、十字架の殲滅者が降臨する…!!!―――――――――――………―かくして、冒険者達の抵抗は続いていく。無制限の軍勢をもって圧勝する筈だった骸どもは、しかし。最後には一つ一つの土になりつつも、ついに月と星への入り口へたどり着いた。あと一手。この塔の外壁に手を掛け、這い上がり頂上の輝きを黒に染めてしまえば終末は完成する。 『急ゲ 急ゲ 急ゲ』夜の街を疾駆し、塔を視界に収め、頂上を見上げるカレ等の怨嗟に喜びが混じり始める。それは勝利を確信した歓喜。生き残りを果たした安堵。裏切り者がどれほど進んでいようと構わない。到達さえしてしまえば、カレ等は階段を駆け上がり、未だにこの世界へ居座り続ける『自分』を朽ち果てさせる。『―――?』…しかし。あらゆる障害を突破した何千目かのソレは、かすかな違和感を感じる。もはやカレ等は到達した。塔はその時点で深紅に、カレ等の怨念で赤く染まっていなくてはならない。されど塔はいまだ現界。カレ等の目に光る赤い点が這ったまま、塔の周りに点在しているのみだった。『――?―――?』疾駆する骸が足を止める。塔は静かな、音一つあげぬ視えない旋風に包まれ、正面からの進入しか許さず。駆け集ったカレ等は、その威風の前に立ち尽くすのみ。その赤い目に焼き付けろ数多の残骸。汝らが目にするは眩い宝。紺碧と漆黒、そして紅に身を包んだ、穢れなき理想の具現。―――ここに。世界の終わりにして奇跡を呼んだ、万物の語り手が存在する。 塔を包み込む不可視の守りこそ、彼女の杖による神秘の風。辿り着いた土たちはざわざわと色めき立つ。カレ等に残された手段はただひとつ。否、初めからそれ以外の方法など、カレ等にはありはしない。骸は骸【共】になり、目前の障害ににじり寄る。本能が敗戦しか感じ取っていないとしても、侵略のみがカレ等の証。「――君達が何者であるか。是非は問わない」語り手は動かず。杖の輝きにはわずかたりとも濁りはない。誰よりも世界を望んだ彼女は天を見上げず、ただ目前の残骸を見据える。「立ち去れなんて言わない。ここは私の大切な人達の望みにして、私の信念を叶える場所。その怨嗟が、この希望を望まないというのであれば。…互いの立場は明確です」紡ぎだす声は穏やかであった。そこにどれほどのモノが込められているかなど、余人には知る由はない。――ある人達が、世界を望んだように。彼女もまた、この在り方を胸の内に秘めていたように。「…ここは未来を重んじる者のみが至る梯子。私にも、君達にも踏み入る余地はない。それを傲慢と呪うのならば――」……迷いはない。幕を下ろすのは彼らだけではない。この夜に集う者全ては。自ら望んだ未来の為に、この幻想を打ち棄てて――「さあ、死力を尽くして来なさい。この語り手の身にかけて、君達の挑戦に応えよう…!!」―――――――――――――………街は未だに赤黒く照っている。が、何よりも強い陽光が。それを全て払うと信じて。―――――――――――――――
心中と天へろ強えwwwwwwwwwwwwwwwwてか熱い曲ホント重要ですね、スカ様w←画像のチョイスも良すぎるんだぜwwwwwwww強いて言えば、光剣装備してなくてサーセン(;_;)
ちゅんぽこレベル2がんばれーーー!!!※推奨BGM ライオン
おっちゃんと天へろの強さは異常w
くす。くすくす。くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくそくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくそくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくそくすくれあくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくそくすくすくすくすくすくすくすくぜくすくすくすくすくすくすくすくそくすくす。え?何がそんなにおかしいかって。最後の最後で肝心なスペルを間違えてるんですもの。ほんと、らしいというかなんというかですね。くすくすくすくすくす。くすくす…。…なんですか。私の顔を眺めて。涙には、笑い泣きというものもあるんですよ。これはその類です。決して…決して、君と別れるのがツライわけではないです。…さあ、お仕事ですよお仕事。八つ目。とうとう、世界の秘密が紐解かれます。〜ニーラレヴァの系譜〜と銘打たれたこの物語は、全て彼女が新たに生み出した世界によって紡がれたものでした。…そうですね。最後ですし、私もきちんと腹を割ってお話するとしましょう。まず、彼らにとっての『現実の世界』と言われているもの。これは、君でいう『アラド戦記』というパソコンのゲームそのもの。彼らは、ロリトルバスターズという集まりの中のキャラクターとして、このゲームの中に生まれていました。当然、そのキャラクター達は。『君によって動かされて』いますよね。その中で。ニーラレヴァというキャラクターだけが、自分の意思を持ってしまいました。彼女は、自分とは違うほかのみんなを見てこう思います。「みんなも、自分と同じように意思を持った世界で暮らしたい」と。そしてその願いは、叶ってしまいます。ニーラレヴァが作り出した新しい『アラド戦記』。その中では彼らは自ら喋り、笑い、泣き、ちゃんと自我を持って行動するようになります。しかし、そういった『平穏』を望んだ世界に、問題が起きました。今までことごとく彼らの過去を蝕んできたヘルモンスター。…おかしいですね。なんで今まで『キャラクター』として生きてきた彼らに、『過去』なんてものが存在するんでしょうか。ヘルモンスターの正体は、彼ら自身でした。新しく作られた世界は完全ではなかったのです。平穏を繰り返し、ある一定の時間で止まっていた彼らの時間。それが矛盾を生み出し、ヘルモンスターを呼んでしまったのです。わかってますわかってます。もっと簡単に言うとですね。例えば彼らが10月31日でその時間が止まっていたとします。寝て起きて、次の日もまた10月31日なのです。では、本来『11月1日』に行くはずだった彼らはどこへいってしまったのか。それが、『そこから先にいくはずだった彼ら』という名の、ヘルモンスターです。生まれてしまった矛盾は怪物へ姿を変えました。まあ当然ですよね。そんな歪に構成された存在なんて、まともになれるはずないです。そのヘルモンスターが、時間を飛び越え彼らの過去を作っていきました。ようするに、前回の幕間でおはなしした『ヘルモンスターが彼らを襲った時間軸』というものは、なんの意味も成さないわけです。ごめんなさあい。そして、一日が過ぎるごとにその矛盾は蓄積されていき。とうとう、ニーラレヴァの世界を脅かす存在にまでなってしまったわけですね。さて。彼らは、その事実をすんなりと受け止めました。理由はとても簡単。みんな、ニーラレヴァの作った世界が好きらしいです。…そりゃ、私もそれなりに気に入ってます。か、勘違いしないでください。こうやって、君を困らせるのが楽しかっただけですよ。そして彼らは、もう一度世界を作り。あんな怪物ではなく、自分達の手でこの世界を終わらせようとします。九つ目。再び世界は紡がれていきます。みんなは『作り出された過去』を振り返ります。それをそれぞれの形で受け止め、新たな世界へ臨みます。このおはなしでもひとつふたつ、話しておかなくてはならないことがありますね。ひとつは、『成功』のガンナー。これは、日ごとに生まれていく矛盾の蓄積を抑えるために。チャイルド鍵が自分の分だけでもと思い重ねていった所業。その過程で生まれたというのが、オレ曲がるにとっての『過去』になりました。それが、最後の世界でやっと成功します。意味は、あるんでしょうかね。ふたつめは、チャイルド鍵のこと。どうやら彼のお話だけは、『ヘルモンスターによるものじゃない、本当の過去』ということらしいです。つまりあの時出てきた『東京』での彼、そしてあの彼女は君の世界の人として実在する人ってことですね。彼のおはなしでは、忘却心中が彼女の声をチャイルド鍵に伝えました。これは、ニーラレヴァが世界を作らなかったら届かないことです。それを重んじ、彼は高々と言いました。『ロリトルバスターズ』と。ひとつだけ。チャイルド鍵のおはなしで出てきた彼女は。チャイルド鍵ではなく、チャイルド葉をキャラクターの名前に選びましたよね。…これ、私も想定外のことです。申し訳ありません。最後のおはなしでこれが関係してくるんでしょうか。………さて。私のお仕事もこれで終わり。なぜかって?君も見たでしょう。『私も、レンズ越しに全てを覗いていた』んです。最後の世界が紡がれた以上、私もここで悠長に語っていられません。…まあ、私にはニーラレヴァほどの力もありませんし。新しく世界を作ろうだなんてバイブルも持ち合わせていません。…。あの…。どうか、最後まで。みんなを応援してあげてください。どうか、どうか最後まで。この短いお話の中で出会えた君とも、もう会えません。…楽しかったです。本当に…。くす。くすくす。だまされました?まさか私が『別れたくないよぉ…』なんて言うとでも。…。いえまあ。楽しかったのは、本当です。きっと、また会えると信じることにしましょう。最後の10個目のおはなし。見届けてあげてください。それでは、またどこかで。
ちゅんぽこは俺の側室
ちゅんぽこは俺の浴室久瀬は俺の敵
ちゅんぽこ?なにそれ。クライマックスフラグだなぁ〜久瀬wwwwwwwwwwww
さあみんな飾りつけだよーヾ('ω')ノ
飾りつけw