僕がお菓子をたべる隣で「みぃー、みぃー」とそれを欲しそうに小さな両手を一生懸命にずっと上げているすにゃこ。けど僕はそれをうるさそうに無視して食べ続ける。しかし最後の一本を取り出した瞬間、「にゃん♪」すにゃこがジャンプして端にかじりついた。ワナワナ震える僕をよそに嬉しそうに尻尾を振りながらカリカリとかじるすにゃこ。僕の中で何かがはじけた。
「この…クソ猫がッ!!」僕は腕を振り上げ、渾身の力でお菓子ごと、すにゃこの体を床に思いっきり叩きつけた!「ギュみぃ…ッ!」すにゃこの頭蓋骨が陥没する音が響く。だが僕の気はまだ収まらない。
叩きつけられた反動で宙高く浮いたすにゃこの体をボールに見立てて、今度は手のひらと壁の間でラリーの始まりだ!「この特価品のクソ猫風情で!調子に!乗ってんじゃ!ねぇよ!」一言一言に怒りをこめて腕を振る。「み゛ぃッ!!ギュみ゛ぃッ!!」壁にぶつかるたびに、すにゃこの小さな体はゴム鞠のように跳ねて、全身の骨は粉砕されてゆく。
う〜ん、そろそろ飽きてきたし、ここらでトドメといきますか。僕が出せる全ての力を手の平に集めて…「バーーーーーーーーーニングッッッッ!!!!」プチッ、という小気味よい音とともに壁に叩きつけられるすにゃこ。全力を出したことによる快感に浸っている僕の前で、すにゃこのひしゃげた体が壁に血の跡を引きながら、ずるり、と床にずり落ちた。
さて、仕上げだ。ボロボロのすにゃこの体を掴むと、「特価品が、おしゃれしてんじゃねぇよ!!」両方のおさげを引っこ抜いた。「ギみ゛ゃああッ!?」痛みに泣き叫ぶすにゃこ。「いっちょまえにオシャレしようとするからこうなるのさwww」と僕が笑うと「フシャァーーッ!!」いきなり怒り出したすにゃこ。あ、こいつ反省してねぇ。僕はすにゃこの耳を指でつまみ、尻尾を口にくわえる。「みぃっ!?」何をされるのか気がついたのか、すにゃこが顔に恐怖の色を浮かべて暴れだす。「みぃみぃみぃみぃみぃみぃみぃみぃみぃ!!!!」僕が余りのウザさに顔面をグーパンチすると、その勢いですにゃこの両耳と尻尾が取れちゃいました☆
カシュッ、という皿の音で目覚めるぱちゅりー。いいにおいがする。自分が気絶している間にご飯の準備ができたようだ。今日は超高級な出前を頼んで魔理沙達と食べる、とご主人様は言っていた。もちろん、ぱちゅりーの魔導書を売り払って費用にした。大切な本ばっかりだったが、魔理沙のためなら仕方ない。それに超高級な出前というものを自分も一度食べてみたかったのだ。
ぱちゅりーはワクワクしながら自分専用の皿を持って、ディビングへと向かった。
「邪魔するぜ、○○」「いらっしゃい、魔理沙」魔理沙がやってきた。彼女の肩にはぱちゅりーと同じ手の平サイズの猫ありすがちょこんとのっている。「むっきゅ〜〜♪♪」魔理沙の足元でぱちゅりーがピョコピョコ飛び跳ねて歓迎しているが、当然無視してさっさと家の中に入っていく。
わざと無視されていると気付かず、ピョコピョコと魔理沙のあとを付いていくぱちゅりー。馬鹿丸出しである。うざいし、お客さんに失礼なので巣の中に蹴り飛ばしておいた。壁に頭を強打して気絶した。
魔理沙が僕の家に遊びに来ると聞いて、「むっきゅん♪」と喜ぶぱちゅりー。鼻歌うたいながら魔理沙のためにお手製のケーキ作ってやがる。気持ち悪ぃ。この池沼、自分が魔理沙に嫌われていてることに気づいていないらしい。おめでたい頭である。
「いやぁー、助かったー!せっかく好きなあの子の誕生日パーティーに呼ばれたのにケーキなしじゃ嫌われるとこだったよ。これで彼女からの好感度アップ、もしかしたらそのまま…グフフフフ……、って何だよクソ犬。いっとくけどあの子、ペット苦手だからお前留守番な。は?お前のおやつ?知るかそんなもん。棚の奥の賞味期限切れの煮干しでも食ってろ。けーねの金?ペットの金はご主人様の金だろ。つかなにお前勝手に買い物についてきてんの?とっと家帰れ。あ、そうそうお釣りあったんだったわ。それくらい返してやるよ、ほら3円。よかったな!じゃあね〜♪」
歩き去ってゆくご主人様。苦労して貯めた3000円が、たったの投げ捨てられた3円に変わってしまった。けーねは3円を見つめながら泣きじゃくるしかなかった…。